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【提案】
<新たな時代の国土のかたち~ 豊かに生きていくための街づくり >

・街づくりは新しいモノを創ることだけではなく、地域の価値を見直し、今の問題を解決する 「智慧」が街づくりだと ・地方の中心市街地の衰退が進むなか、定住人口の減少、高齢化、空き家に起因する不動産の老朽化・空洞化等が全国的に共通の課題です。これに対し各地方行政は、「コンパクトシティ構想」をもとに自らが主導的立場となって駅前や中心市街地の再開発を進める事例が増えてきております。 ・しかしながら現実は行政自体に資金力がないため、民間企業を誘導した「民活」による再生を試みようとしますが、そもそも再開発エリア周辺の不動産的な価値やマーケットとしての魅力が時代とともに低下しているため、民間企業としても敬遠しがちであるというのが実情です。 ・そのため、今本当に求められる政策とは、地域の理解を得ながら街として、事業として価値を生む未来に向かうための「智慧」であると考えます。

■地方活性化に必要なのは「お金」ではなく「智慧」
各行政が抱える地域課題は、言い換えれば「市民の声(ニーズ)」です。その解決策とは「民間活力(マーケット)」の創出を政策(智慧)によって促すことです。ニーズに対応したマーケットが生まれることこそが街の活気や賑わいの原動力となります。街に本当に必要な政策(智慧)を見据え、規制緩和や税制対策を施行し、顧客(市民)価値向上を図ることで、民間企業誘致が現実のものとなります。

 

■価値の見直しと周辺価値の向上
駅前開発における成功とは、駅前周辺だけが活性化することではなく、その影響が街(市)全域に波及し、街全体が活性化するような価値や仕組みを創ることです。しかしながら、いままでにない全く新しい価値を創るというのはとても困難なことです。そこで、その地域が元から持っている価値を見直し、掘り起こし、新たな視点から見つめ直すことで、新たな価値創出と同等の効果が得られると考えます。掘り起こした価値を改めてどう見せていくか、どのような費用対効果をみて計画をするかなど、取捨選択に当たっては関係者による十分な検討が必要です。
再開発の前段階として既存の価値の最大化を図るこの手法は、老朽化や耐震性問題を抱える駅周辺の多くのビルオーナーにとっての建替える動機や理屈となり、資金投入のきっかけとなります。
ただし開発の内容は、その価値の身の丈にあったしっかりとしたデューデリをもとに計画することが重要です。

■6世代のライフスタイルとシェアスタイル
現代の家族構成の在り方を細かくライフステージ別に分けた場合、6世代に分けられると考えます。
①社会人(シングル)、②二人夫婦(DINKS)、③子育て(幼児・学生)、④二人夫婦(子離)、⑤単身、⑥介護です。それぞれの生活

で求められるニーズの違い、ライフステージの進行によって住み方は様々に変化し、ライフスタイルも多様化しております。
これからの生活空間の在り方とは、住宅を資産としながらもライフステージの変化に合わせて容易に住み替えができるような、柔軟性を兼ね備えた住宅不動産の考え方を創り上げていかなければなりません。
また、モノの所有や利用に関する概念が「シェアスタイル」の浸透により、その時必要なモノやコンテンツがいつでも都合良く、手続きも容易に借りられる環境の整った社会に変わり始めています。更には住宅・不動産における空間の共有や、働き方といった人材の分野にまで「シェアスタイル」が浸透しつつあります。

■商業施設のあり方
市街地の賑わい創出において重要な役割を担う百貨店や商業施設は現在、Eコマースの台頭により衰退の一途をたどっています。「ネット通販にシェアを脅かされモノが売れない」という単純な問題ではなく、顧客価値の変化の速さに追随できず、商業施設全体が陳腐化してしまうといった状況にあります。最近では特に、働き方の変革や共働き夫婦の増加に伴い、より利便性を追求する一方、時間の過ごし方に関してはより豊かな付加価値が求められおり、しっかりとしたマーチャンダイジングに基づいた提案が必要となります。そのための一手法として、これからの商業施設はIOT/ICTの導入も積極的に検討する必要が有るでしょう。安全かつ居心地の良い空間で利便性と賑わいを創ること。そして「働く・学ぶ・遊ぶ」ことを含めた日常の生活をサポートする・‘きっかけ’をつくることを考えなければなりません。

■「郊外型の駅前再開発」事例
大阪府北河内地域に位置し、府下4番目の人口(平成27年時)を誇る「枚方市」駅前において平成16年に開業したライフスタイル提案型商業施設「枚方T-SITE」は、枚方市民のシビックプライド再生の一役となり、駅前再開発における起爆剤として位置づけられています。


枚方市は2014年、政令指定都市制度に次ぐ位置付けである「中核市」の選定を受けたことにより、駅周辺の価値を見直し、行政自ら「課題(=)ニーズ」の整理行い、政策(智慧)として何が必要か検討を進めています。開発が単純に都市計画の手続として行われるのではなく、以前より枚方市が持つ価値である「自然、教育、健康、文化歴史、職工の街」といった要素をベースに、新たな政策(智慧)によって「子育て、芸術文化、ベンチャービジネス」を育て、不動産価値を創出していくことが出来るかの岐路に立っています。

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