吉富002

【論評】 

 <ライフスタイルの変化をとらえながら創る「街づくり」>    

人生100年時代の個人のライフスタイルを支える街づくりを考える

消費活動の変化

ライフスタイルと大きくかかわるのが消費活動です。個々のライフスタイルが様々な形を取捨選択ができる時代に消費活動も大きく変化しています。

モノからコトへと消費の在り方が大きく変化する中、モノの消費がeコマース中心にネットで買い物する機会が急増し、店舗と直接関係を持たずに買い物ができる。売り手も従来の大手の卸問屋や店舗を通した流通から 製造者(メーカー・生産者・作者・アーテイスト等含む)が直接市場に出せる機会が構築され、店舗の店員さんに相談していたことが、SNS等のデジタルデバイス等で製造者や購入者のお勧めや感想を直接聞けることができるようになり、個人に必要な趣向商品が選べることができます。人材不足の時代に知識のない単純なモノ売り店舗は不要な時代となり、今すぐ目的がはっきりとした必要なものが手に入る店舗(コンビニ、ドラック等)がリアル店舗の中心になっています。

消費の形として関係性消費があります。関係消費とは 口コミやお奨めが「キッカケ」の消費行動で、人から勧められ購入したモノや、食べたモノ、ギフト等も含まれます。現在は若者に限らず中高年もSNS(フェイスブックやインスタ等)のデジタルデバイスを活用し、簡単に口コミやお勧めを情報として得ることができます。その反応が消費に直結していることがあり、消費自体がその情報をもとにつくられる関係性に左右されています。

消費と関係性

 関係性においては個人差があるものの、従来の関係性も団体に所属しなくても、個人の意志で能動的にSNS等を活用し自らが自分の意思で付き合う人を決めて様々なコミュニケーション・コミュニティー(近所、子供の保護者同士、○○友等)を見つけ、選び、共通の話題で共感し、商品やサービスを勧めたり、効率的に数多くのコミュニケーション(関係性)を持てることができます。 

家族や学校・職場・地域という関係性が当たり前でしたが、現在の核家族においてさらに家族内での関係性も希薄となり、個人として関係性を作り上げ、生活の質を高め合うことが必要となります。その関係性を保つためのモノとしてギフト・お奨めするという形で消費のあり方も変化をしています。

街づくりにおける関係性における愛着装置

街づくりにおける関係性は 個人の関係性とは別の関係性として街全体が一体となる愛着装置が必要となります。一般的に幅広い多くの人が気軽に応援できることで愛着を持つことができるのがスポーツなのでしょう。例えば、野球の広島カープやサッカーのJリーグ、近年ではバスケットボールも地域発のチームが多く出てきています。熱狂的なファンを交えながら応援という形で愛着と共感を持ち、地域の中や外からも応援=ファンという関係性がつくられていきます。この関係性は一つのテーマの器の中で飲み会やグッズ販売等の消費活動につながりながら、地域のブランド・魅力化していきます

街にとってのコンセプト・ブランドの一つとして街全体の関係性を生む愛着装置が必要であり、それがシビックプライドの基礎となると思います。

スポーツに限りませんが、その装置作りは地域の自治体、市民と民間企業が一体となり作り上げなければならず、役所頼み、民間企業頼みでは継続性が保てません。

「場創り」こそ街づくりとしての予見

個々の関係性(コミュニティー)は「働く・学ぶ・遊ぶ」等テーマにも縛られずに、楽しく、好奇心をくすぐる内容を見出さなければ続かないと思いますし、無理やり続ける必要もなく、新たなキッカケやコミュニティーを見出し、そしてバーチャル上ではなくリアルな空間(五感で感じる)でのコミュニティーに発展すればと考えます。

個々の関係性のリアルな場としてカフェ等も含め様々なシャアスペースが活用され、少しずつそのようなスペースはできてきてはいますが気軽に利用できる空間はあまり存在しません。その空間は関係性そのもので、個人を含め多様性があり、居心地(ゆっくり)がよく横断力(世代・目的)と包容力(寛容)を持ちあわせていることが重要です。気軽な場が新たな関係性を簡単に見つけることができるキッカケになります。そのような関係性を創れる街づくりがこれからの街づくりであり、住宅・商業や業務等の枠を超え、シェアしながら、その関係性のテーマのコンテンツやサービスをサポートすることがこれから求められる場の在り方になります。

IOTやICTを通して様々な情報やコミュニティーへのアクセスが容易になり、関係性のツールであるデジタルデバイスにおいても5G時代として高速大容量通信が可能な時代が到来するとバーチャルがさらに加速し、場の意味もさらに変化していくことになるでしょう。

ライフスタイルの変化に伴う「場創り」こそが街づくりとしての与件となります。

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