渡邉 高章

【オピニオンの視点】

・地域まちづくりにするファイナンスのあり方について、強い関心を持っています。充実した補助金メニューが期待できない将来、市民は地域まちづくりに対して自らで資金調達をする必要性に迫られると思います。
・これにあたり実現可能な事業計画の策定と実行力、必要な資金を多様な主体から調達し、投資結果にコミットする胆力が地域プレイヤーには必要となるはずです。
・このような地域プレイヤーは徐々に増え始めていると感じますが、他方で地域の様々なまちづくりプロジェクトに対する資金提供(特に融資による調達)については、まだ発展途上というのが実感です。
・多くの場合、地域金融機関等がその窓口となりますが、ノンリコース型融資に対しては経験もほとんどないことから及び腰であり、担保及び個人与信を前提とした取引とならざるを得ません。これだと、いわゆる長期定期賃貸借型の物件確保、SPC組成による将来CFに依拠したファイナンススキームがほとんど実現できないことになります。これについては、地域金融機関のファイナンスリテラシー向上を強く期待したいところです。
・他方で、投資型クラウドファンディングなどが隆盛となってきました。従来型の個人与信による資金調達ではなく、小規模不動産特定共同事業法等を活用し、より多様な投資スキーム活用による不動産投資が、投資メニューとして拡充することを願っております。
・市民が地域に投資し、責任ある地域経営に積極的に関与する。その成功の対価として地域の価値向上、そして配当利益の両面を確保する、そんな市民主体の地域投資を実現したい、そう考えています。

【自己紹介】

【現在】 合同会社鞆まちづくり会社 代表社員
【職歴】 2004年株式会社UG都市建築 入社
都市プランナーとして大崎駅西口中地区の法定再開発、虎ノ門パストラル再開発等都市開発コンペチームなど参画、その他にも地方中核都市中心市街地活性化・地域活性化スキームづくりにも関わるなど、より事業構想の部分において、まちづくりを探求するが都市プランナーとしての事業構想力の限界を感じ、投資ファンドの世界へ。
2008年森ビル・インベストメントマネジメント株式会社 入社
公募リート運用会社にて、公募増資及び第三者割当増資による物件取得(アーク森ビル及び六本木ヒルズ森タワー)及び相互売買、J-REIT物件の期中運営、配当マネジメント、投資家向けIRなどを対応。リーマン・ショック後の荒れるマーケットと対峙しながら、不動産投資市場の前線で親会社との物件相互売買及び、安定的な期中運用を実現する。
2012年株式会社玄海キャピタルマネジメント 入社
投資スキームに関する広範なスキル獲得、投資家との直接的なコミュニケーションを行うべく、福岡発祥の私募ファンドに入社、都心大型オフィスビルの取得及び期中運営、収支向上施策の立案及び実行を、常に現場と対話しながら達成する。京都の超高級リゾートホテル開発計画の開発AMとして、レンダー側との調整役としてプロジェクトファイナンスを実行させるとともに、工事の期中管理を担当する
2018年2月
地域のまちづくりプロジェクトとファンド資金を結びつける目的で合同会社アーバンギークスを設立し、代表社員に就任
2018年9月
リーディングプロジェクトとして、福山市鞆の浦の次世代まちづくりを担う組織として合同会社鞆まちづくり会社を同年9月に設立、代表社員に就任
【資格】 不動産証券化マスター、技術士補(建設部門)、宅地  建物取引士
【自己紹介】 ・「事業運営のシビアな闘いへの対応」、「まちづくりに対する情熱」、このふたつを兼ね備え、地域のまちづくり事業と投資マネーを結びつけることで、持続可能な地域づくりを実現することを目的に、昨年2月に独立開業致しました。
<都市計画コンサルでのまちづくり人生>
・大学院卒業後にUG都市建築という老舗の都市計画コンサルタントに入社、膨大な量の都市計画調査業務に加え、都市再生特区活用による容積緩和型都市計画に関する行政調整(確か都内2事例目だったと思います)、様々な開発コンペへのチーム参加など充実したまちづくり人生を送っていました。
・ただ、どこまでいっても“絵に描いた餅”に終わりがちな業務や、最終的な意思決定(おもに投資判断の根本に関わる事業計画づくり)に携わることが出来ないコンサルタントとしての限界を感じはじめ、“まちづくりを実現するには投資ビジネスを理解する必要がある”と思い、リーマン・ショック直前にJ-REIT運用会社である森ビル・インベストメンマネジメントに入社しました。
<森ビル系REIT会社で迎えたリーマン・ショック>
・そこで待っていたのは、リーマン・ショック後の物件評価額減とテナント退去、減損ヒットを回避する速やかな売買実行とIR対応など非常にタイトかつ高度なものばかりでした。約4年、荒れる投資マーケットを体感しながら、なんとかREITのあるべき姿(できるだけ安定的な配当を目指す)に近づけるべく七転八倒していた次第です。
・一段落したところで、安定的なREIT人生にすこし物足りなくなってきました。特に投資スキームに対する知識経験が身に付きづらく、やるべきことが硬直化するREIT運用会社よりも、都度スキームアレンジしながら機関投資家と直接対応する私募ファンドのほうが、将来まちづくりの世界に戻ったときも役立つと考えたのです。
<不動産証券化スキームをゼロから学んだ玄海キャピタル>
・そうして入社した玄海キャピタルマネジメントでは、投資スキームに関する知識の根本から学び直しました。同時にリーマン・ショック後のデフォルト案件の処理にあたって、まさにテナント折衝など現場に近いところから直接対応し、不動産の収益を数字ではなく実感として得られたのは得難い経験でした。
・玄海キャピタルでは、開発型証券化(ホテル案件の開発AM)にも携わることが出来、膨大なドキュメントやDDと格闘しながら、案件をクローズすることができました。
<起業への悩み>
・ただ、自分が40歳、人生の折り返し地点を超えつつあるなかで、そもそもの目的だった「投資事業を正しく理解し、自分の考えるまちづくりを実現する」という思い、それをいったい自分はいつ実現するのか、と悩み考え始めました。
・そのとき(2年ほど前ですが)、学生時代からお世話になっていた福山市鞆の浦にて、古民家再生事業が本格化し始めたのを知りました。古民家まちづくりに中央からのファンドマネーが結びつき始めたのもこの頃です。自分が考えていた「ファンド投資による地域まちづくりが実現しつつある、このままで良いのか」、その思いが強くなり昨年2月にアーバンギークス(日本語だと都市オタクという意味になります。)を設立した次第です。

渡邉 高章のオピニオン【論評】【提言】一覧

投稿が見つかりません。

連絡先 SNS
Facebook にシェア